数日前に図書館で見かけたのでこれと、あと2冊を借りてみていた。久しぶりの眉村卓なので、面白く、7編で600ページあまりあったけど2時間足らずで読めてしまった。
連邦軍とやらが他の星系の惑星を武力で制圧し、植民地にしていくような時代。軍による統治の限界をフォローするための制度が、司政官制度。
軍人ではない司政官一人とその配下のロボット群での統治を行う制度で、その司政官が主人公のお話。
で、短編として発表された全7編が出版順でなく、劇中の年代順にならべかえて収録されたのがこの文庫。
それぞれ、1.制度発足直後、2.発足後数年、3.10年前後、4.20年前後、5.40年前後、6.50年前後、7.70年前後とならんでるのが面白い。
司政官は、20代も存在するらしいことから逆算すると10代前半で、例えは非常にわるいが、東大、司法試験、国家公務員I種を全部一発合格し、トップアスリート並の肉体の訓練と平行して、司政官の職務の教育・訓練を12、3年やって、さらに実際に惑星を2、3回って実習をうけ、合格するとやっとなれる感じ。東大出の官僚も真っ青な超エリート。
読み進むと、
原住の知的生命体の文明がそれほど発達しておらず、武力での制圧をするほどもないところも存在するようで、それらに技術の提供などで干渉するような状況もあり、直ぐに、え、これだといずれ現住民?に疑問をもたれて統治なんてものじゃなくなるんじゃないのかと思ってしまうが、それがシリーズのテーマの一つでもあり、さらに読み進むとそれなりに答えが用意されている模様。(まだ読んでない「消滅の光輪」「引き潮のとき」がそれぞれ制度発足から120年後、150年後)
もう一つ、発足後数十年の間の司政官は、そのほとんどが退役?するまでいわゆる独身らしいので、そのあたりに説明はあるのかななどと思っていると、ちゃんと説明があり、ごくまれに、今のフランスのような婚姻に準ずる制度なども存在しつつ、結婚にあたる関係をもつ者もいるらしい。
という具合に気持ちよく補完してくれる作品が多いのが眉村卓の好きなところ。
コメント